コラム45
 
ヨーロッパの陶磁器のはじまり

前回に続いて、今回もポットの話です。

今でこそイギリス・ウェッジウッドやドイツ・マイセンなどで、ヨーロッパの陶磁器も有名ですが、17世紀にお茶と一緒に中国の焼き物が送られてくるまで、ヨーロッパの食器は、質の悪い陶器の他は、銀や銅などの金属か木製のものでした。

お茶が中国・武夷山で生産され、港まで運ばれる途中に焼き物で有名な景徳鎮を通ります。

その際に、壊れ物の磁器を船に積むバラストに使用したのが初めと言われています。バラストというのは、船のバランスを取るために配置する重しです。

硬質で割れにくく、光り輝くように美しい中国や日本の磁器は、ヨーロッパの人々にとって憧れのまとでした。

スズや鉛、真鍮、銅などの食器よりも磁器を使って食事をした方が、見た目が美しく味が損なわれないのはもちろん、健康に良いのにも間違いありません。

ヨーロッパで初めて純白の磁器を作ったのは。ドイツ・マイセン地方のヨハン・フリードリッヒ・ベドガーという人で、ザクセン侯の庇護の下、1710年に磁器工場を建てました。

技術の流出を恐れたザクセン侯は、陶工を城内に閉じ込め、長い間、外に出るのを許さなかったと言われています。

その後、ヨーロッパ各地で磁器が作られるようになりましたが、地質に恵まれなかったイギリスでは、陶土に牛や羊の骨を焼いた灰を混ぜる独自の工法を編み出しました。それがボーンチャイナと呼ばれているものです。
 
 

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