|
|
|||
これは私がユーラシア大陸を東南アジアからヨーロッパまで旅していた頃のことです。 ちょっと一息つくような所といえば、ハンバーガーと清涼飲料を出すお店がありますが、それも立ったまま食べるような所でした。 夜行列車に揺られて到着した6月上旬の夜明け間際は、コートがまだ必要で、吐く息も白く、町に人影はほとんどありません。 石畳の小道や建物はどれも古く、派手な看板や外灯のほとんどない青白い風景は、昔見た古いヨーロッパ映画そのものでした。 私は、とりあえずホテルのフロントが開くまで、町の中心の広場で時間を潰すことにしたのですが、そこは立ち止まるとほんとうに身に沁みるような寒さをじわじわ感じる所でした。足踏みをする以外何もすることもないのは辛いものです。 そこで、場違いだと思いつつ広場の真中にある銅像の足元で、カバンからキャンプ用のコンロを出し、ペットボトルの水を小鍋で沸かしました。そう、お茶を飲むためにね。 1ヶ月前に初めてこの町に来た時に、この町に一軒だけある輸入雑貨店で衝動買いした、イギリス・ブレンドの缶紅茶を、こんなところで淹れたのです。角砂糖を入れて、甘ーくして飲んだと思います。 この時、すでに日本を出て11ヶ月ちかく経ち、旅生活で体も神経もだいぶ疲れていたせいか、渋くて甘い紅茶の味がとてもせつない気分を誘いました。
|
|||